NDC(国が決める気候目標)とグローバル・ストックテイク(GST)は、表裏一体の関係です。
ここでは、その関係性を 「目的」「役割」「サイクル」の観点からわかりやすく整理してご説明します。
そもそもNDCとは?
Nationally Determined Contribution(国が決める削減目標)の略で、
パリ協定にもとづき、各国が提出する「気候行動計画」のことです。
- たとえば日本は「2030年までにGHGを46%削減(2013年比)」を掲げています。
- 内容は削減だけでなく、「適応」「資金」「技術」なども含みます。
GSTとNDCの関係:PDCAサイクルで理解!
GSTとNDCは、パリ協定におけるPDCA(計画・実行・確認・改善)サイクルの要です。
ステップ | 内容 | 関連する仕組み |
---|---|---|
P(Plan) | 各国が削減目標を立てる | NDC(5年ごとに提出・更新) |
D(Do) | 実際に行動し、政策を実施する | 国内法、GX戦略など |
C(Check) | 世界全体で進捗を評価する | グローバル・ストックテイク(5年ごと) |
A(Act) | 評価をもとに目標や行動を強化する | 次回NDCへ反映/より高い目標へ |
GSTは「世界レベルの成績表」→ 次回NDCに活かす
関係性のイメージ(図式化)
コピーする編集する[第1回NDC]
↓(5年間 実行)
↓
[第1回GST]←──┐
↓ │
[評価・教訓] │= 世界の“成績表”から
↓ │ 次回NDCを改善!
[第2回NDC]───┘
↓(5年間 実行)
…以下くり返し
関係性の本質(なぜセットで理解すべきか)
NDCだけでは… | GSTとセットにすると… |
---|---|
自国の目標を出して終わりになりがち | 世界の目標と足並みをそろえる仕組みができる |
目標のレベルにばらつきがある | GSTが「もっと努力してね」というメッセージを送る |
評価の軸が国によって違う | GSTが共通の物差しを提供する |
具体例:日本とNDC・GST
- 日本の現行NDC(2030年までにGHG 46%削減)は、GST第1回(2023年)で「足りない」と評価
- これを受け、次回NDC(2025年提出予定)では、さらに野心的な目標が求められる
- GXリーグやグリーン成長戦略も、その流れの中で位置づけられている
まとめ:NDCとGSTは“進化型のキャッチボール”
観点 | NDC | GST |
---|---|---|
目的 | 各国が気候目標を定める | 世界全体での進捗を評価する |
性質 | 計画(Plan) | チェック&改善(Check & Act) |
更新サイクル | 5年ごとに提出・強化 | 5年ごとに実施・報告 |
関係性 | GSTの評価をふまえ、次回NDCを高める | NDCの内容を集めて評価する |
※記事内容については、事実確認を心掛けております。しかし、学習(インプット内容をアウトプット)としているため、誤った認識がある可能性がございます。ご了承くださいませ。
おまけ:疑似問題
Q. パリ協定のもとで、各国が提出するNDC(国が決める削減目標)と、グローバル・ストックテイク(GST)の関係として正しいものはどれか?最も適切なものを1つ選びなさい。
A. GSTは、各国のNDCが法律に基づいているかどうかを監視し、違反国には制裁を与える制度である。
B. 各国はGSTで評価された後、評価結果にかかわらず同じNDCを5年間維持しなければならない。
C. GSTは世界全体の進捗やギャップを評価する仕組みであり、次回のNDCを強化するための材料となる。
D. NDCとGSTはそれぞれ独立した制度であり、互いに影響を与えない。
答え:
C. GSTは世界全体の進捗やギャップを評価する仕組みであり、次回のNDCを強化するための材料となる。
解説:
Cは正しい内容です。
- グローバル・ストックテイク(GST)は、各国のNDC(削減目標)を含めて世界全体の進捗を5年ごとに評価し、1.5℃目標に向けて「足りているかどうか」をチェックします。
- その評価をもとに、各国は次回のNDCを見直し・強化することが求められています(パリ協定の“進化的アプローチ”)。
不正解の選択肢のポイント
選択肢 | 誤りの理由 |
---|---|
A | パリ協定に法的制裁や罰則はなく、GSTも監視・制裁機関ではない。あくまで「透明性」と「促進」を目的とした評価制度。 |
B | 各国は次回NDCを強化する努力義務があります。評価結果にかかわらず同じNDCを維持し続けることは想定されていません。 |
D | パリ協定では、NDCとGSTは強く連動しています。GSTが次回NDCの内容に直接影響を与えるため、独立した制度ではありません。 |
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