【ゼロから学ぶGX検定】SBT(Science Based Targets)について知ろう

GX・脱炭素経営・ESGの分野で非常に重要な国際基準、「SBT(Science Based Targets)」について、わかりやすく解説いたします。


SBT(Science Based Targets)とは?

やさしい定義:

「気候科学に基づいて設定された、企業のCO₂削減目標」のことです。

科学的に見て、地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えるために、どれだけCO₂を減らす必要があるか?
→ それに沿った削減目標を企業が掲げ、それを第三者が認定する制度です。


比喩で分かりやすく:

たとえば、「肥満にならないようにするには、1日○キロカロリーまでに抑えよう」と医者に言われたとします。
→ それに従って食事制限するのが「科学的に正しいダイエット計画」。

SBTは、「地球が“気候肥満”にならないためのCO₂ダイエット指導」みたいなものです!


どこが運営しているの?

SBTイニシアチブ(SBTi)」という国際的な団体が認定を行っています。

構成団体:

  • CDP(企業の環境情報開示の世界標準)
  • WRI(世界資源研究所)
  • WWF(世界自然保護基金)
  • UNGC(国連グローバル・コンパクト)

信頼性が高く、国際的な気候対策の“お墨付き”になります。


どういう目標が「SBT」になる?

企業がSBT認定を受けるには、以下のような削減目標の設定が必要です。

分類:スコープ(対象範囲)

スコープ内容
スコープ1自社の施設や車両からの直接排出工場の燃料燃焼など
スコープ2購入した電力・熱の使用による間接排出事務所の電力など
スコープ3バリューチェーン全体(サプライヤーや顧客)からの排出原材料調達・製品使用・廃棄など

→ SBTは最低でもスコープ1+2の目標を必須とし、大企業はスコープ3も必須です。


SBTの種類(削減レベル)

名称内容
1.5℃目標最も厳格。2050年に実質ゼロ+2030年までに50%削減など
WB2C(Well-Below 2℃)目標2℃より十分低い水準。以前主流だったが、現在は1.5℃が推奨

さらに、企業が「2050年までに実質ゼロを目指す」とSBTiに宣言すると、「SBTネットゼロ認定」もあります。


なぜSBTが注目されている?

理由内容
📣 投資家・取引先からの信頼「ちゃんと削減してる企業」と評価されやすい(ESG投資の加点)
📈 ビジネスチャンスに直結SBT取得企業しか参加できない調達基準(例:ユニリーバ、アップルなど)もあり
🏢 日本政府も後押し「GXリーグ」「グリーン成長戦略」でもSBT取得企業を優遇

日本企業の例(2024年時点)

企業コメント
ソニー様スコープ1+2を100%再エネに
ネットゼロ目標の認定を取得
花王様SBTi「1.5℃目標」を想定して設定、「RE100」申請
リコー様早くからSBT認定企業に
中小企業も続々SBT for SMEという簡易認定も用意されている

SBTと他制度との関係

制度名関係性
CDPSBT認定企業は高評価を受けやすい
TCFD/ISSB排出目標の根拠としてSBTが有効
EUタクソノミーSBTは「気候緩和に貢献する」証拠になる
グリーンボンド発行根拠としてSBT準拠が求められるケースもあり

まとめ

観点内容
名称Science Based Targets(科学的根拠に基づく排出削減目標)
中身1.5℃目標に整合するように、CO₂排出削減目標を第三者認定
対象スコープ1+2(必須)+スコープ3(大企業は必須)
意義ESG投資/GX戦略/国際的評価のベースになる認定制度

※記事内容については、事実確認を心掛けております。しかし、学習(インプット内容をアウトプット)としているため、誤った認識がある可能性がございます。ご了承くださいませ。

おまけ【疑似問題①】

Q1. SBT(Science Based Targets)の目的として最も適切なものはどれか?

A. 国連が各国に義務として課すCO₂削減目標を企業に分担させる仕組み
B. 科学的根拠に基づいて企業が気候目標を設定し、地球の1.5℃目標に貢献するための認定制度
C. 投資家が企業に排出量の罰金を課す際の基準として用いる制度
D. 燃料や電気の使用量を記録するだけで、削減行動は求められない枠組み


おまけ【疑似問題②】

Q2. SBT認定を受ける企業が削減目標として必ず含めなければならない排出範囲(スコープ)はどれか?

A. スコープ3のみ
B. スコープ1とスコープ3
C. スコープ2とスコープ3
D. スコープ1とスコープ2(+スコープ3は大企業の場合必須)


おまけ【疑似問題③】

Q3. SBTに関連する説明として最も適切なものはどれか?

A. SBTはEUが定めた制度であり、EU圏外の企業は認定を受けられない
B. SBTは1.5℃や2℃目標に整合するCO₂削減目標を、第三者機関が認定する仕組みである
C. SBT認定を受けた企業は、原則として再エネの利用を義務づけられている
D. SBTは国ごとに異なるローカル基準に基づいており、国際的な統一性はない

✅【Q1】正解:B

B. 科学的根拠に基づいて企業が気候目標を設定し、地球の1.5℃目標に貢献するための認定制度

🔍解説:

SBT(Science Based Targets)は、気候科学に基づいて、企業が1.5℃未満の気温上昇目標に整合する削減目標を立て、それを**SBTイニシアチブ(SBTi)**という国際的な機関が認定する制度です。

選択肢解説
A国単位ではなく、企業単位の「自主的かつ科学的」な目標です。
C罰金制度ではなく、認定制度です。
DSBTは「削減行動」が本質。記録だけでは不十分です。

✅【Q2】正解:D

D. スコープ1とスコープ2(+スコープ3は大企業の場合必須)

🔍解説:

SBT認定では、スコープ1(直接排出)+スコープ2(電力等による間接排出)の削減目標はすべての企業に必須です。
さらに、大企業(従業員500人以上)に関しては**スコープ3(バリューチェーン全体)**の削減目標も求められます。

選択肢解説
Aスコープ3のみでは不十分です。
Bスコープ1と3だけでは不十分です。
Cスコープ2と3も不完全です。
D正しい構成です。

✅【Q3】正解:B

B. SBTは1.5℃や2℃目標に整合するCO₂削減目標を、第三者機関が認定する仕組みである

🔍解説:

SBTは、SBTイニシアチブ(CDP・WWFなどで構成)が企業の目標が科学的に適切かどうかを審査・認定します。
近年は「1.5℃目標」が標準であり、より高い削減水準が求められています。

選択肢解説
AEUが運営しているわけではなく、国際的な機関(SBTi)による制度です。
C再エネの義務化はしていませんが、推奨される戦略の1つです。
D国際的に統一された基準であり、世界中の企業が対象です。

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