SSPシナリオの基本情報まとめ
誰が作ったのか?
気候変動に関する世界的な研究者たち(学術コミュニティ)が中心です。
特に、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書に使うために、
「IAM(統合評価モデル)研究者グループ」などが国際協力で開発しました。
- アメリカ、ヨーロッパ、日本などの研究機関や大学が共同で作成
- リーダー的な組織:IIASA(国際応用システム分析研究所/オーストリア)
いつ作られたのか?
- 開発スタート:2010年前後
- 公表:2016年に本格公開
- 用途:IPCC第6次評価報告書(AR6)で本格採用
それ以前に使われていた「SRESシナリオ」(2000年ごろ開発)に代わる、より柔軟で現実的な未来予測モデルとして開発されました。
目的は何か?
一言で言うと:
「将来の地球社会を複数のパターンで想定して、気候変動対策を科学的に評価・比較できるようにするため」
もっと具体的には:
- 国や企業が「今の政策を続けたら将来どうなるか?」をシミュレーションできる
- 「もしこういう社会を目指すなら、どれだけCO₂を削減する必要があるか?」を逆算できる
- GX政策、ESG投資、都市計画、エネルギー戦略などの判断材料になる
どのように利活用されているか?
IPCC報告書に採用されている
- 最新(2025年5月現在)の第6次評価報告書(AR6)では、「SSP × RCP」という形で組み合わせて利用。
- たとえば「SSP2-4.5」は、「中くらいの社会変化 × 中程度の温室効果ガス排出量」の世界を意味します。
各国の政策や国際枠組みで活用
例:
「世界の気温上昇を1.5℃以下に」
→ 各国はSSP1-1.9やSSP1-2.6のルートを目指す必要がある
→ **GX(グリーントランスフォーメーション)戦略やNDC(国別温暖化対策目標)**の根拠となる
国連主導の気候イニシアチブ(例:Global Stocktake)
- 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)での定期的な温暖化対策レビューでも、SSPに基づいたシナリオを参照
- 各国が自主的に設定した削減目標(NDC)が、SSPのどのルートに近いかを判断する材料となる
ESG投資や企業のシナリオ分析でも活用
- 多くのグローバル企業(例:トヨタ、シェル、三菱UFJなど)が、気候関連財務情報開示(TCFD)において、SSPシナリオをベースにリスク分析・気候戦略を報告
- TCFDでは「SSP1-2.6」などの低排出ルートと、「SSP5-8.5」などの高排出ルートを比較して、企業のリスク耐性を分析
まとめ
項目 | 内容 |
---|
作成者 | IPCCに協力する世界の研究者(IIASAなど) |
公開時期 | 2016年(IPCC第6次報告書向け) |
目的 | 社会と気候変動の未来をシナリオで想定し、政策判断やリスク評価に活かす |
利用先 | IPCC報告書/各国のGX政策・NDC/TCFD/ESG投資など多数 |
※記事内容については、事実確認を心掛けております。しかし、学習(インプット内容をアウトプット)としているため、誤った認識がある可能性がございます。ご了承くださいませ。
コメント