SSPシナリオの理解の補足として、下記の2つをご紹介します。
- SSPとRCPの違い
- SSPが日本のGX戦略にどう関係しているか
SSPとRCPの違い
結論から言うと:
項目 | SSP | RCP |
---|---|---|
正式名 | Shared Socioeconomic Pathways | Representative Concentration Pathways |
意味 | 社会の未来像(人口・経済・政策など) | 温室効果ガスの濃度(CO₂のシナリオ) |
例 | 「世界が協力して持続可能な社会に向かう」 | 「2100年にCO₂濃度がどれだけになるか」 |
主な使い方 | 社会の変化をシナリオに反映する | 地球温暖化の影響(気温・海面上昇など)を試算する |
わかりやすくいうと:
- SSPは「人間の行動シナリオ」です。
→「世界中が協力する?分裂する?経済成長はどうなる?」といった人間社会の未来の物語 - RCPは「温室効果ガスの未来予測」です。
→「このまま排出すると2100年にどれくらいCO₂が溜まるか?」を表す数字のルート
セットで使うのが今の標準:
たとえば、
- SSP1-2.6
→「持続可能な社会(SSP1)を目指し、CO₂も大きく削減(RCP2.6)」 - SSP5-8.5
→「技術まかせの爆走経済(SSP5)で、CO₂濃度は大爆発(RCP8.5)」
つまり、
SSP=どう生きるか(人間側)
RCP=その結果、地球はどうなるか(環境側)
という組み合わせで、未来の「もしも」をシミュレーションします。
SSPが日本のGX戦略にどう関係しているか?
🇯🇵GX(グリーントランスフォーメーション)とは?
日本が「2050年カーボンニュートラル」を目指して打ち出した国の大きな方針です。
産業構造・エネルギー構造を変革して、経済成長と脱炭素の両立を図る。
GXとSSPのつながり:
- どのSSPに近づきたいか=GXの方向性を決める材料になる
→ GX戦略は「SSP1(持続可能な社会)」を目指していると考えられます。 - SSPベースの温暖化リスクを想定して、日本がどんな準備をすべきかを議論できる
→ たとえば、SSP3(分断社会)やSSP5(経済優先社会)では、CO₂排出量が大きく、GXの加速が必要になる。 - GX実行の効果をSSPと組み合わせて定量評価できる
→ 「GXを実行すれば、どれだけCO₂が減って、どのSSPルートに近づくのか?」を政府や企業がモデルで検討中。
企業や自治体でもSSPが参考にされている
たとえば:
- 経産省「GX実行会議」
→ GX政策のインパクト評価に、SSPベースの気候モデルを使用
→ 国際的整合性(IPCCやIEA)を保ちながら、日本独自の道筋を描く - 自治体の気候戦略や脱炭素ロードマップ
→ 「SSP2だとこのまま気温が○度上昇」などのモデルを元に、地域のリスク対応や再エネ導入計画を立案
まとめ
観点 | 内容 |
---|---|
SSPとは | 社会の未来像(人間の行動・政策)を描いたシナリオ |
RCPとは | 温室効果ガスの排出量・濃度のシナリオ |
GXとの関係 | GX政策が、どのSSPルートに向かうかを考える基礎になる/SSPベースでGXの効果やリスク対策を分析できる |
※記事内容については、事実確認を心掛けております。しかし、学習(インプット内容をアウトプット)としているため、誤った認識がある可能性がございます。ご了承くださいませ。
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