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せっかく整えた人事制度が空回りしてしまう理由 ~制度ではなく、空気が組織を強くする~ - 「働く」を、もっと楽しく幸せに!

せっかく整えた人事制度が空回りしてしまう理由  ~制度ではなく、空気が組織を強くする~

9:人材論
  1. なぜ“空気”が成果を決めるのか?
    1. 制度ではなく“空気”が人を動かす
    2. よくある“制度倒れ”の実例
    3. 空気が成果を変えるメカニズム
    4. 空気は“自然発生”ではなく“設計”できる
  2. 管理職の再定義:「サーバントリーダー」が空気を整える
    1. 権威型マネジメントの限界
    2. サーバントリーダーとは何か?
    3. 信頼関係が空気を変える
  3. 心理的安全性を育む“称賛文化”のつくり方
    1. なぜ“称賛”が空気を変えるのか?
    2. “称賛文化”をつくる3つのポイント
      1. 「行動」を褒める(成果でなくてもOK)
      2. 「第三者を巻き込んで」称賛する
      3. 「上司も称賛される側に」なる
    3. 実際に導入できる称賛の仕掛け例
  4. 空気の“硬直”を壊すファシリテーション設計とルールづくり
    1. なぜ“空気の硬直”が起きるのか?
    2. 空気の停滞を“仕組み”で打ち破る
      1. 発言順を明確に決める
      2. 「無理に話さなくてもいい」合図も設ける
      3. 空気を変える“合言葉”をつくる
    3. ファシリテーターは“仕掛け人”である
  5. 役割選択と評価の自由化が空気を自由にする
    1. 固定された“キャリアモデル”が空気を重くする
    2. “役割選択の自由”が空気を軽くする
    3. 評価の多様性が“承認の空気”をつくる
    4. 「役割=適性×意思」が文化になるとき
  6. 空気づくりは“誰かの仕事”ではない 〜全員参加の文化形成へ〜
    1. 「空気=誰かが整えるもの」という誤解
    2. 「文化形成=日常の小さな行動の積み重ね」
    3. 全員が“文化の共同編集者”になる
    4. 最後に:空気は「見えない資産」

なぜ“空気”が成果を決めるのか?

制度ではなく“空気”が人を動かす

多くの企業では、「立場に関係なく自由に意見を出してほしい」「挑戦を称賛する」といった制度や方針が掲げられています。しかし、現実の職場では「結局、年次や役職の高い人ばかりが発言してしまう」「挑戦よりも失敗回避が優先される」といった現象が後を絶ちません。なぜか?

それは、“制度”や“仕組み”よりも、“空気”――つまり、目に見えない職場の雰囲気や暗黙のルールが、実際の行動を強く支配しているからです。

よくある“制度倒れ”の実例

  • フラットな会議文化を掲げたのに:若手が意見を出すと、年配管理職が「現場を知らない」と一蹴。その場の空気が凍り、以後、誰も発言しなくなる。
  • 1on1ミーティング制度を導入したのに:上司が形式的な質問しかしないため、部下は「本音を話すと損をする」と感じ、形骸化。
  • 失敗を歓迎する文化のはずが:ミスを報告した社員が、結局人事評価でマイナスを食らい、以後、リスクをとる人が消える。

いずれも、制度の内容が悪いのではなく、それを支える“空気”が整っていなかったために、逆効果を生んでしまったのです。

空気が成果を変えるメカニズム

職場の空気は、チームの行動様式を左右します。

  • 空気がよければ……
    • 若手が意見を出す
    • 失敗を恐れず挑戦する
    • 助け合いが生まれる
    • 結果として、創造性・スピード・成果が上がる
  • 空気が悪ければ……
    • 発言が萎縮する
    • 保身が優先される
    • 組織内サイロが固定化
    • 結果として、停滞・硬直・早期離職が起きる

空気は、組織のパフォーマンスにも、離職率にも、イノベーションにも影響します。どれほど優れた制度があっても、それを活かす“場の空気”が整っていなければ、人は動かないのです。

空気は“自然発生”ではなく“設計”できる

空気という言葉は曖昧に聞こえるかもしれませんが、実は空気は“放っておけば勝手に生まれる”ものではありません。むしろ、意図して設計しなければ、過去の慣習や無言の上下関係によって“望ましくない空気”が支配してしまうのです。

逆に言えば、空気は“文化”としてデザイン可能です。

次章からは、「空気をよくする仕掛け」を、管理職のあり方や制度、行動モデルなど多方面から具体的に解説していきます。


管理職の再定義:「サーバントリーダー」が空気を整える

権威型マネジメントの限界

これまでの多くの企業では、「管理職=命令・指示・評価を行う存在」として位置づけられてきました。特に年功序列が根強い文化では、肩書きが上がるほど発言力が増し、“上司が絶対”という空気が当たり前とされてきました。

しかし、そうした権威型マネジメントは、

  • 若手の発言を萎縮させ
  • 部下が上司に「忖度する」関係を生み
  • チームの創造性や機動力を著しく損なう という問題を生みます。

特にVUCA時代と言われる現代では、「指示待ち」「報連相の遅れ」「現場とマネジメントの乖離」が命取りになりかねません。

サーバントリーダーとは何か?

“サーバントリーダー”とは、チームや部下を支援し、力を引き出すことを目的としたリーダーシップのスタイルです。

管理職は偉くなるのではなく、役割が変わるだけ。 「上から支配する」のではなく、「下から支える」存在として、

  • メンバーが成果を出せるよう環境を整える
  • 意見を引き出し、尊重する
  • 感情の機微に気づき、信頼を築く ことが求められます。

この考え方が組織内で共有されれば、「発言すれば評価が下がるかも…」という空気から、「発言すれば組織が前に進む」空気へと変化していきます。

信頼関係が空気を変える

「空気は制度より強い」――だからこそ、空気を変えるには、“人間関係”の変化が必要です。

特に、管理職と部下の間に信頼関係があるかどうかは、チーム全体の空気に直結します。

  • 管理職が部下の話を丁寧に聴く
  • 小さな努力や挑戦を見逃さずに認める
  • 「なぜこの仕事をするのか」を伝える

こうした一つひとつの行動が、部下の安心感・自律性・発言意欲を育てます。

そして、「管理職がそういう姿勢でいるのが当たり前」という文化が広がれば、自然とチーム全体に健全な空気が流れはじめます。


心理的安全性を育む“称賛文化”のつくり方

なぜ“称賛”が空気を変えるのか?

人は、自分の行動や挑戦が認められると、安心し、再び挑戦しようという気持ちになります。この「認められる」体験が増えれば増えるほど、職場に心理的安全性が根づきます。

逆に、「何も言わない方が楽」「頑張っても無視される」と感じる職場では、人は自然と沈黙し、防衛的になります。

“称賛”は、行動を増やし、挑戦を促し、空気を前向きに整える最大の仕掛けです。

“称賛文化”をつくる3つのポイント

「行動」を褒める(成果でなくてもOK)

たとえば、失敗しても「よくチャレンジした」「発信してくれてありがとう」と行動そのものを承認することが大切です。

「第三者を巻き込んで」称賛する

SlackやTeamsなどで、メンバーを“公開称賛”することで、称賛の文化が組織全体に伝播します。

  • 例:「〇〇さん、昨日の提案資料、的確で助かりました!」
  • 例:「営業部の△△さん、製造現場まで来てくれてありがとう!」

「上司も称賛される側に」なる

上司やベテランが称賛される場面があると、「年次や役職に関係なく、みんなが称賛される組織」という空気ができます。これは、権威主義の解体にもつながります。

実際に導入できる称賛の仕掛け例

  • Slackに#感謝チャンネルを作る:誰かの貢献や工夫を投稿する習慣をつくる。
  • 月1回の称賛共有会:チームで「この1か月でありがとうを言いたい人」を1人選ぶ。
  • 称賛カードの導入:ちょっとしたメッセージを手渡し・デジタルで送れるようにする。

これらの仕掛けは、コストも時間もかけずに始められますが、空気を「感謝と尊重があふれる職場」に変える強力な武器になります。


空気の“硬直”を壊すファシリテーション設計とルールづくり

なぜ“空気の硬直”が起きるのか?

どれほど制度や称賛文化が整っていても、「発言が止まる」「空気がよどむ」瞬間は、どの職場にも訪れます。

空気が硬直する原因の多くは、次の3つです:

  • 過去の否定的な経験(発言が否定された等)
  • 力関係の固定(上司が話すだけ)
  • 役割とルールの曖昧さ(誰が話すのか不明)

これらを放置すると、「発言しないのが当たり前」「波風を立てないのが賢い」という空気が常態化し、健全な対話が消えていきます。

空気の停滞を“仕組み”で打ち破る

ファシリテーションや場づくりの力を活かすことで、「意図的に空気をほぐす」ことが可能です。

発言順を明確に決める

  • ランダムに順番を振る、順番表をあらかじめ配るなど
  • 「誰が次に話すか」が明確になるだけで、安心感が生まれ、参加しやすくなります

「無理に話さなくてもいい」合図も設ける

  • 「パスOK」カードや、「いったん聞き役に回る」ボタンなど
  • 無理強いされない安心感があることで、逆に話しやすくなるケースも多いです

空気を変える“合言葉”をつくる

  • 例:「ちょっと一回ストレッチしませんか?」「ここからブレストモードで」
  • 空気がよどんだときに使える“場のリセットボタン”があると、空気を立て直しやすくなります

ファシリテーターは“仕掛け人”である

会議やチームの中で、ファシリテーターは単なる進行役ではありません。

  • 空気の硬直を察知する
  • 緊張感を緩める工夫を仕込む
  • 意見が出ない人に「問いかける勇気」を持つ

こうした“仕掛け”によって、沈黙が「安心の沈黙」から「閉塞の沈黙」へと変わるのを防ぎます。

組織に1人でも“場の空気を動かせる人”がいるだけで、職場全体が大きく変わるのです。


役割選択と評価の自由化が空気を自由にする

固定された“キャリアモデル”が空気を重くする

多くの企業では、今でも「昇進こそキャリアアップ」「管理職になって一人前」という空気が色濃く残っています。しかしこの価値観は、組織内の“見えないプレッシャー”となり、以下のような硬直した空気を生み出します。

  • 管理職になりたくない人も、辞退しづらい
  • 管理職を辞める=敗北、降格と見なされる
  • プレイヤーのままだと“やる気がない”と受け止められる

これでは、「自分らしい働き方」や「最適な役割」が実現できず、結果として、空気の停滞・内向き思考・離職率の上昇などを引き起こします。

“役割選択の自由”が空気を軽くする

組織の空気を自由にするためには、「どの役割を担うかを、個人が選べる」仕組みが必要です。

たとえば:

  • 管理職か専門職かを“手上げ制”で選べる
  • 一度管理職になっても、希望すればプレイヤーに戻れる
  • 昇進が「ステータス」ではなく「ロール変更」として扱われる

このような選択の自由があると、組織内に「無理して上を目指さなくてもいい」という安心感が生まれ、空気に余白が生まれます。

評価の多様性が“承認の空気”をつくる

役割選択を自由にするためには、それに応じた評価制度の多様性も必要です。

  • 管理職は「チーム成果」「育成力」「信頼関係」などで評価
  • プレイヤーは「専門性」「生産性」「自律性」などで評価

このように、「それぞれの立場に応じた“納得できる評価軸”」があることで、組織全体に“承認の空気”が流れ始めます。

さらに、

  • 自分の価値が認められている
  • 無理にキャリアを演じなくてもいい
  • 周囲も自分も“活かし合える”

という感覚が広がれば、心理的安全性は飛躍的に高まり、「この組織で働き続けたい」と思える人が増えていくのです。

「役割=適性×意思」が文化になるとき

究極的には、企業文化として以下のような前提が共有されることが理想です。

「人は皆ちがう。だから、自分の強みが発揮できる役割で働くことが、最も生産的であり、最も幸福だ」

この前提に立てば、管理職の評価が高くても、プレイヤーが軽視されることもありません。

「どちらが上か」ではなく「どちらが自分に合っているか」という問いが当たり前になったとき、組織の空気は自由になります。


空気づくりは“誰かの仕事”ではない 〜全員参加の文化形成へ〜

「空気=誰かが整えるもの」という誤解

多くの職場では、空気の良し悪しは「上司の責任」「ファシリテーターの腕次第」と考えられがちです。

たしかに、リーダーの影響力は大きい。しかしそれ以上に、空気とはその場にいる全員の言動の総和で決まる“集合的な現象”です。

つまり、

  • 上司が良い意図を持っていても、
  • 一部の社員が常に否定的、沈黙、無関心であれば、

空気は沈み込みます。

逆に、

  • 誰か一人が場を明るくしたり、
  • 初めての人に声をかけたり、
  • 小さな称賛を届けたりすれば、

その一つの行動が、空気を柔らかくし、循環を生み出します。

「文化形成=日常の小さな行動の積み重ね」

文化とは、理念や制度よりも、「毎日のふるまい」によって形づくられます。

  • ミーティング前の雑談を大切にする
  • 新しいアイデアに「面白いね」とまず言う
  • 困ってそうな人に「手伝おうか?」と声をかける
  • SNSで誰かの仕事をさりげなく称賛する

これらの行動は、一見すると些細ですが、文化形成における“水面下のインフラ”になります。

つまり、空気づくりとは、特別な施策や研修ではなく、日々の職場でのふるまいから始まるものなのです。

全員が“文化の共同編集者”になる

これからの組織は、「空気の責任者」を誰か1人に委ねるのではなく、全員が“空気の共創者”であるという前提で文化を育てていくべきです。

そのためには:

  • 管理職が「模範」を示す
  • 若手も「提案者」になれる
  • 中堅社員が「潤滑油」となる
  • 人事が「仕掛け人」として環境を整える

役割に応じたアプローチを持ちながらも、全員が「この職場の空気は、自分たちで創れる」という意識を持つこと。

それが、持続的に健全な空気が循環する組織文化の核になるのです。

最後に:空気は「見えない資産」

“空気”は目には見えません。

しかし、

  • 離職率
  • 創造性
  • チームの生産性
  • 従業員満足度

すべてに直結する、極めて重要な“無形資産”です。

この見えない資産を意識的に育てられる組織だけが、これからの変化の激しい時代において、持続的に成果を出し、優秀な人材に選ばれ続けるでしょう。

空気は、誰かのせいではなく、自分の一言・一動作から変えられる。

その最初の一歩が、文化をつくる大きなうねりになります。


ご一読、ありがとうございました。

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