はじめに:なぜ人が辞めるのか、集まらないのか?
- 採用活動に手応えがない
- 離職率が下がらない
- 評価制度を整えたのに、社員が活躍しない
こうした悩みを抱える経営者・人事担当者の方は多いのではないでしょうか。
あるいは、会社員の立場から「うちの会社、制度や方針は“いいこと”を言っているのに、現場が全然変わらない」と感じている方もいらっしゃるでしょう。
実はこの問題、多くの場合「制度が機能していない」のではなく、
制度を支える“空気=組織文化”がデザインされていない
から起きているのです。
制度ではなく「空気」が人を動かす
たとえば、こんな経験はありませんか?
- 会議で「誰でも自由に発言を」と言われたけれど、結局いつも同じ人しか話さない
- 「失敗は責めない文化」と言いつつ、失敗を報告した人が人事評価でマイナス
- 「1on1で話して」と言われたが、上司が形だけの質問で終わる
これらは、制度そのものに問題があるのではなく、それを支える空気が整っていないから生まれる“制度倒れ”です。
制度はマニュアルで変えられますが、**空気(=組織文化)は人の感情と日常行動で動く“無形資産”**です。
空気をデザインする5つの戦略
制度と文化のギャップを埋めるために、企業が意識すべきポイントを5つに整理しました。
管理職の再定義:「上司=偉い」から「上司=支える人」へ
命令・指示型の管理職は、チームの沈黙と忖度を生みます。
現代は「サーバントリーダー(支援型リーダー)」の時代。部下を“育てる”ではなく、“活かす”意識が空気を変えます。
心理的安全性を生む“称賛文化”の仕掛け
評価されるのは成果だけでなく、行動や姿勢。
失敗を責めるのではなく、「チャレンジをありがとう」と称賛する空気が、挑戦を生む土壌となります。
→ Slackの「感謝チャンネル」や、社内SNSでの公開称賛はすぐ始められる取り組みです。
会議の“ファシリテーション設計”で沈黙を壊す
- 「話す順番」を決める
- 「パスOK」の仕組みを用意する
- 空気をほぐす“リセットワード”を使う(例:「ここからはブレストモードで」)
ちょっとした設計で、“空気の硬直”を防ぐことができます。
キャリアの選択肢を自由にする=空気に余白を生む
- 管理職/専門職を選べる手上げ制
- 管理職→プレイヤーへの異動も「降格」ではなく「適材適所」
こうした設計が、役割の強要をなくし、自律的な空気を育てます。
「空気づくりは全員の仕事」という文化の共有
空気を変えるのは、上司や人事だけではありません。
日々の小さなふるまい――
・新人に話しかける
・意見に「面白いね」と返す
・Slackでありがとうを伝える
こうした行動が積み重なって、空気は動き始めるのです。
まとめ:空気は“見えない資産”。それが採用と定着を左右する
「採用に強い会社」「社員が辞めない会社」には、共通点があります。
それは、空気がいい会社=文化が言葉と行動で整っている会社です。
制度だけでは人は動きません。
目に見えない“空気”を、意図してデザインしていくこと。
それがこれからの人事戦略において、最大の武器になります。
最後に
制度づくりに疲れているあなたへ。
もう一つのアプローチ――“空気設計”という視点を持ってみませんか?
文化は、一朝一夕では変わりません。
でも、一人の行動からでも、始められます。
「空気」は、あなたの一言で、変わるかもしれません。
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