■冒頭ストーリー:空気を凍らせた、部長のひとこと
新設した1on1制度。会議では「誰でも発言OK」のルール。称賛文化も取り入れた──はずだった。
だが、数ヶ月後。 若手社員は黙り込み、離職希望が続出。
ある会議で、若手が勇気を出して提案をしたとき、部長はこう言った。
「いや、その発想は現場を知らなすぎるよ」
空気が、一瞬で凍った。部下はこう思った。
「言っても、無駄なんだ」──と。
制度は整った。だが、空気が壊れていた。
■はじめに:制度では組織は動かない
「制度も整えた、目標も明確にした。なのに、なぜかチームが動かない」
こうした悩みを持つ経営者や人事担当者は少なくありません。
実はその原因は、**管理職自身が気づかない“関係性の崩壊”**にあることが多いのです。
マネジメントとは、単なる命令・評価の役割ではありません。むしろ、
「関係性を設計すること」こそが管理職の仕事の中心である
という視点が欠けていると、制度は形骸化し、空気は腐り、組織は静かに壊れ始めます。
■ 成果を出すには、“人間関係”も業務である
人間関係の構築は感情論ではありません。
情報共有、挑戦、協働──あらゆる行動は「信頼関係」という土台の上で成立します。
信頼がなければ、情報は上がらず、挑戦は止まり、離職は加速する。
つまり、関係性を壊す行為は、成果を壊す行為とイコールなのです。
では、どのような行為がそれに当たるのか?次に紹介する「9つのタブー」は、まさにその危機を引き起こす典型例です。
■ 組織崩壊を招く管理職の“9つのタブー”
タブー①「できない人間はいらない」
- 📣ありがち発言:「うちは結果がすべてだから」
- 🔥問題点:プロセスや努力が軽視され、挑戦する文化が消える
タブー②「何それ?意味がわからない」
- 📣ありがち発言:「それ、考えが甘いよ」
- 🔥問題点:発言することがリスクになり、沈黙が支配する
タブー③「言わなくてもわかるよね?」
- 📣ありがち発言:「常識でしょ」
- 🔥問題点:空気を読む力ばかりが求められ、情報の透明性が失われる
タブー④「1on1?とりあえず毎月やってるよ」
- 📣ありがち発言:「形だけでもやらないよりマシ」
- 🔥問題点:関係性が育たず、“対話アレルギー”だけが残る
タブー⑤「昔はこうしてた」
- 📣ありがち発言:「俺のときはもっと厳しかった」
- 🔥問題点:新しい挑戦が潰され、過去の焼き直ししか生まれない
タブー⑥「だから言っただろ」
- 📣ありがち発言:「ミスしたんだから当然だよな?」
- 🔥問題点:支援ではなく支配に変わり、失敗報告が消える
タブー⑦「お前らの責任は、全部俺が背負うんだよ」
- 📣ありがち発言:「俺に恥をかかせるな」
- 🔥問題点:プレッシャーと支配感だけが残る“重たい空気”を醸成
タブー⑧「で、何が言いたいの?」
- 📣ありがち発言:(PC画面を見ながら)「聞いてるよ」
- 🔥問題点:聞いてる“つもり”でも、信頼残高は減っていく
タブー⑨「お前、努力が足りないんだよ」
- 📣ありがち発言:「頑張ればできるよ、俺はそうだった」
- 🔥問題点:環境や支援の不備を無視した“切り捨て”マネジメント
■反面教師から学ぶ、これからの管理職像
上記のタブーに共通するのは、
「成果だけを見て、人との関係を切り捨てている」こと。
逆に、成果を出す管理職は、人間関係も仕事だと理解しています。
- 部下の挑戦を認め、失敗を支える
- 情報を引き出す対話を設計する
- 主語を「私」ではなく「チーム」に変える
「支配する」ではなく、「支える」── それが、これからの管理職のあるべき姿です。
■まとめ:空気と信頼を壊す“ひとこと”が、組織を崩す
組織が壊れるのは、制度や施策の問題ではありません。
管理職の“ふるまい”が、チームの空気と信頼を壊すことがある。
しかし、逆に言えば──
管理職の一言・一動作が、組織を救うきっかけにもなります。
結局のところ、上司の仕事は、偉ぶることでもなければ、お山の大将になることでもありません。部下との良好関係の人間関係、信頼関係を創ること。それは「人として、そもそも大事なこと」という感情面、倫理面の理由もある一方で、チームの成果という戦略的な視点でも、良好な人間関係、信頼関係を部下とも創ることが必要です。
もし、あなたの上司や管理職が、上記9つのタブーを犯しているのであれば、カンタンに現状を変えることは難しいと思います。しかし、「やってはいけないタブーを犯すと、どう思われるのか?」という予習にはなります。
この記事の内容が、あなたの会社員としてのキャリア形成のお役に立ちましたら幸いです。
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