ビジネスパーソンにとって、組織の強さはキャリアに大きな影響を与えます。
では、強い組織とは何か?
そのヒントを、大人気マンガ『弱虫ペダル』(著:渡辺航/出版:秋田書店さん)から学びましょう。
今回取り上げるのは、箱根学園(通称:ハコガク)という強豪チームの「人材育成」。
特に、単行本78巻で描かれる“追い出しレース”のシーンから、強い組織の条件を探ります。
https://www.akitashoten.co.jp/comics/4253227384
■ 組織の強さが試される“追い出しレース”
ハコガクでは、卒業する3年生チームと在校生チームが戦う「追い出しレース」が恒例行事です。
このレースは、単なる送別試合ではなく、スプリント・山岳・ゴールの3か所でガチ勝負を行い、 勝負の厳しさを在校生に叩き込む場でもあります。
今年は、新キャプテンの提案で「勝負に勝った回数」でチームの勝敗が決まるルールが導入されました。
このレースの最初の勝負は「スプリント対決」。
3年生チームの新開隼人と、在校生チームの新開悠人(隼人の弟)が激しく競り合います。
しかし、彼らの勝負が繰り広げられる前に、 「どうすればこの勝負をチーム全員が見届けられるか?」という課題が生じました。
■ 若手の覚悟が組織の成長を促す
スプリント対決は、両チームのエーススプリンターが飛び出すため、 通常のメンバーでは到底追いつけません。
それでも、在校生の1年生メンバーは諦めずに提案します。
「ボクらが先頭交代してペースを上げるというのはどうでしょうか?」
「3年生や2年のメインの方は休んでいただいて、 オレら1・2年の星を持っていない連中で全開で引いて先頭に追い付きます!!」
彼らは、自分たちが犠牲になっても、チームのために勝負の場に全員を届けることを選びました。
この姿に、3年生のエースが言います。
「立派な後輩が育ってるじゃねェか」
強い組織は、こうして“自然に”後輩が育つ環境を作るものなのです。
では、このハコガクの組織作りには、どんな特徴があるのでしょうか?
■ 強い組織を作る3つの条件
ハコガクの強さは、次の3つのポイントに集約されます。
①特別扱いをしない
強い組織は、誰一人として特別扱いしません。
例えば、スプリンターの新開悠人は、入部当初から天才的な実力を持っていました。
しかし、彼は「負けた先輩からアドバイスを受ける」というルールを無視。
「自分より弱い人間から学ぶ必要はない」と思っていたのです。
そんな彼を、先輩の葦木場がレースで圧倒し、 「ルールを守ることの重要性」を叩き込みました。
企業でも、実績があるからといってルールを無視する人がいると、 組織は内側から崩れます。
強い組織は、「特別扱いせず、公平なルールを徹底する」ことで結束力を高めているのです。
②リーダーほど苦労する
ハコガクのキャプテン泉田は、スプリンターでありながら異例のキャプテン抜擢を受けました。
通常、キャプテンは山岳スペシャリストかオールラウンダーが務めるもの。
そのため、泉田の就任にはチーム内から反発の声も上がりました。
しかし、彼は自らの力で周囲を納得させました。
「誰よりも努力し、チームを引っ張る」
これが、強い組織のリーダーの条件です。
上司や先輩は、ただ偉そうに指示を出すだけではダメ。
「誰よりも苦労し、誰よりも努力する」
それができる人が、真のリーダーとしてチームをまとめられるのです。
③結果を出すために最善を尽くし、負けた仲間を責めない
ハコガクは結果にこだわるチームですが、 「どんな手を使っても勝てばいい」という考え方はしません。
正々堂々と勝負に挑み、負けた仲間を責めることは決してしない。
新開隼人はスプリント対決で敗北し、葦木場も山岳勝負で敗れました。
しかし、誰一人として責められませんでした。
それは、
「全力を尽くした結果なら、負けても責める必要がない」
と、チーム全員が理解しているから。
一方、現実のビジネスではどうでしょう?
- 失敗した人を責める上司
- うまくいかなかったら他人に責任を押し付ける管理職
- 逆に成功したら手柄を横取りする先輩
こうした環境では、社員の成長は止まり、組織は弱体化していきます。
■ まとめ:強い組織を作るために
『弱虫ペダル』のハコガクは、組織の理想形を体現しています。
- 特別扱いをしない → ルールを徹底し、公平性を守る
- リーダーが誰よりも苦労する → 率先垂範でチームを引っ張る
- 負けた仲間を責めない → 最善を尽くした結果を称える
「俺たちだって、ハコガクです!!」
そう自然と言える組織こそが、本当に強い組織。
そして、あなたが今いる会社、あなたが目指すキャリアにおいて、 どのようなチーム作りをしていくのか。
それを改めて考えるきっかけにしていただければ幸いです。
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